30代デジマ担当者のキャリアクライシスと打開策

デジタルマーケティング担当者が陥りやすい、キャリアの停滞期とその打開策を整理します。

マーケティング担当者のキャリアステージ

マーケティング担当者のキャリアステージには大きく6つあります。早い人は、2年程度でステージ3の入り口に、3~6年程度で特定領域の専門家となりステージ4の入り口に到達します。ステージ3の入り口で、評価を停滞させる場合が多く、それは自身の専門性がコモディテー化してしまっていたり、ステージ4へのキャリアパスが見えづらいことが主な要因です。停滞を打破するのに有効な手法を整理していきます。

ステージ1マーケティング業務の見習い
ステージ2特定業務の担当者(ワーカー)
ステージ3特定領域の専門家(スペシャリスト)
ステージ4マーケティング施策の統合者(ブランドマネージャー)
ステージ5ブランド・マーケティング全体の責任者(CMO)
ステージ6マーケティングに強い経営者(CEO)

ステージ3の詳細

■ステージ3の要件

要件は、マーケティングの特定領域におけるスペシャリストです。スペシャリストとは、専門領域において独自の見解やノウハウをもち、代わりの利かない存在になることです。独自の見解やノウハウとは、本や他人から得た借り物の知識ではなく、みずからの体験に根ざしたものです。ステージ3でレベルを高めるうえで重要なのは、基本的な専門知識に、独自の経験と見解を付加し、再統合してアップデートした専門知識を社内外にアウトプットすることです。

■特定領域の具体例

「商品・サービスの企画業務」「ネット広告」「SEO」「アプリ」「デザイン」「ソーシャルメディア」「通販の販促」「CRM」など

■ステージ3のコモディテー化を防ぐために

理想的には、20代のうちに従事するマーケティング業務が、市場で差別化されたスキル開発につながるよう、能動的に社内外で動くことが重要です。自分を「労働市場における商品」に見立て、高く購入してくれそうなターゲット企業と、そこへの提供価値を見定め、みずからを計画的に育成することが理想です。現実的には、同じ専門領域の知識を深堀りし続ける以外にも、「隣接領域のほかの専門知識を身に着ける」ことと「ひとつ上のステージの専門知識を学ぶこと」が有効です。それが自身の希少性や成果を高めることに繋がります。

ステージ3から4への移行

■前提

ステージ4に移行するにはマネージメントにキャリアをシフトしていく必要があります。

もちろん、ステージ3を極めるという道もあり、より高いレベルのスペシャリストになる、複数領域のスペシャリストになることで、より高い報酬を得る場合もあるので、優劣ではなく自身の適正で移行を目指すか決定する必要があります。

ここでは、マネージメントにキャリアをシフトしステージ4に移行するきっかけになる3つの要件を整理します。この要件は、必ずしも3つを重複して満たす必要はなく、どれか1つを満たすにも、時間やお金だけでなく、運や努力も必要で、ハードルは高いといえます。

■要件(必ずしも、3つを重複して満たす必要はない)

1.MBA取得、大手経営コンサルティング会社在籍、事業会社で経営を担った経歴

2.商品・サービス・広告などのマーケティング施策を成功させたヒット施策実績

3.複数の事業・ブランドの施策投資PDCAサイクルをまわして、経営パフォーマンスを改善し、データドリブンなPDCAサイクル基盤をつくった実績

ステージ4 要件3の実績を作るために求められること

上記要件1や2は経歴や施策の一般的な概念のため比較的イメージしやすいですが、3はイメージしづらい人も多いのではないでしょうか。ここでは、ステージ4要件3のイメージを具体的にしていきます。

■要件3の実績を作るために求められること

事業・ブランドのマーケティング施策の投資と成果に対する管理・評価が求められます。そのため、マーケティング知識だけでなく、最低限のリサーチや統計に関する知識も必要です。また、投資予算の配分・管理においては経営企画部門が絡み、マーケティング施策の定量的な評価数値は調査担当が担うなど、複数の部門や担当者を横断して調整しないとうまくまわりません。

■留意点

これらの詳細な内容は、メディアやブログなどで成果として開示できませんが、その考え方や、分析で得た気づき、実際の改善アクションと成果を、転職時の面接でリアリティーをもって説明できれば、非常に大きな評価が得られます。ポイントは、ファイナンスの知識だけ、マーケティングの知識だけ、リサーチの知識だけでは有効に機能しないため、それらを統合して解釈し、改善アクションにつなぐ力をもっていることです。

参考資料

下記書籍で、本記事で紹介している内容が体系的にまとめられており、説明が非常に分かりやすいです。マーケティング職のキャリアをつくる視点についてXやnoteでも発信している「山口義宏」さんが執筆している書籍で、分かりやすく伝えるのが上手&マーケティング職についても詳しいので、本記事の筆者も書籍を読んで学んでいます。

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